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05:キュレーター 片岡真実さんの場合

現代アート関係の記事で最近特に良くお見掛けしますね。非常に精力的に活動されている方です。個人的に会田誠さんや塩田千春さんのファンですので、お二人の展覧会を企画された片岡さんの動向には見逃せないところですよね。

目次

概要

国立アートリサーチセンター長(2023年~)。愛知教育大学教育学部美術科卒業。東京オペラシティアートギャラリーのチーフキュレーターを経て、2003年の森美術館開館時よりキュレーターとして活動を開始。
「六本木クロッシング」や「会田誠展」など、現代アートの大型展覧会を数多く企画し、アジアをはじめとする国際的な現代美術の紹介に尽力。2020年1月より森美術館館長に就任し、国内外のアート・ネットワークを広く持つ存在として注目を集める。
批評性と社会性を兼ね備えた展覧会企画で知られ、国際展の審査員や選考委員も務めるなど、アジア現代美術の発展に大きく貢献している。

片岡真実さんの経歴

学歴・初期キャリア

  • 愛知県名古屋市出身。
  • 一宮市立向山小学校、一宮市立南部中学校、愛知県立一宮西高等学校を経て、1988年に愛知教育大学教育学部(美術科)を卒業4
  • 大学時代にアメリカへ留学し、ニューヨークで現代美術の現場を体験したことが転機となりました5

職歴と主な役職

  • 1992年:ニッセイ基礎研究所に勤務し、都市開発部研究員として活動45
  • 1997年:東京オペラシティアートギャラリーの開館準備に携わり、チーフキュレーターとして初の展覧会を手掛ける45
  • 2003年:森美術館に入職。2009年にチーフ・キュレーター、2018年10月から副館長、2020年1月より館長に就任4
  • 2023年:初代国立アートリサーチセンター長に就任43
  • 2025年4月:京都芸術大学大学院教授に就任予定13

国際的活動と主な業績

  • 2007~2009年:ロンドンのヘイワード・ギャラリーでインターナショナル・キュレーターを務める3
  • 2012年:第9回光州ビエンナーレ共同芸術監督134
  • 2018年:第21回シドニー・ビエンナーレ総合ディレクター1234
  • 2022年:国際芸術祭「あいち2022」芸術監督1347

その他の主な役職・受賞歴

  • 国際美術館会議(CIMAM)理事(2014~2022年)、会長(2020~2022年)2347
  • 2022年:文部科学省日本ユネスコ国内委員会委員、西洋美術振興財団賞学術賞受賞4
  • 2025年度からICA京都(京都芸術大学附属アートリサーチセンター)所長に就任予定1

キュレーション実績

  • 小沢剛、会田誠、アイ・ウェイウェイなど、国内外の著名アーティストの個展を多数手がけています4

教育・社会的活動

  • 京都芸術大学大学院教授、東京藝術大学客員教授も歴任23

まとめ

片岡真実さんは、日本の現代美術界を代表するキュレーターとして、国内外の美術館運営や国際展の監督を歴任し、教育・研究機関のトップも務めるなど、多岐にわたる活動を展開しています

片岡真実さんのアート観

未知との出会いと多様性の重視

片岡真実さんは、「自分の知らない世界のことを知りたい」という強い探究心がアートへの原動力だと語っています。現代美術館は「未知の世界と出合う場」であり、アートは新たな視点や価値観をもたらしてくれる存在と位置づけています138

関係性の美学とアジア的視点

片岡さんは、現代アートにおける「関係性の美学(リレーショナル・アート)」に注目しています。これは、作品単体の独自性や象徴性ではなく、人間同士のインタラクションや社会的文脈に価値を置く考え方であり、東洋思想の「縁起」や「空」といった、すべてが相互に関係し合い、流動的であるという世界観と親和性が高いと指摘します45

「あらゆるものは、それ単体で在るのではなく、天地万物のすべてが相互に関連し合いながら、その因果関係、関係性の結果として存在しているとするこの考え方は、現代アートの解釈においてもじつに飛躍的な可能性を開示してくれる。」5

参加型アート・社会との関与

片岡さんは、鑑賞者が能動的に関わる「参加型アート」や、社会的な文脈に根ざした「社会に関与した芸術(socially engaged art)」にも注目しています。アートは単なる鑑賞物ではなく、観客やコミュニティとの関係性の中で成立し、社会的な変化や対話を促す力があると考えています45

グローバルとローカルの視点

「世界はローカルの集まりでしかない」という考えから、グローバルな視点とローカルな多様性の両立を重視しています。欧米モデルの単なる模倣ではなく、日本やアジア独自の価値観や歴史、文化を再評価し、世界に発信することの重要性を強調しています6

まとめ

片岡真実さんのアート観は、

グローバルとローカルの両立
を軸に、アートが人や社会、世界との新たな関係を生み出す場であるという姿勢が貫かれています。

未知との出会いと多様性の尊重

関係性や縁起といったアジア的世界観

参加型・社会的アートの重視

片岡真実さんのおもな展覧会

国内外の主要な国際展・企画展

  • 第9回光州ビエンナーレ(2012年、共同芸術監督)4
  • 第21回シドニー・ビエンナーレ(2018年、総合ディレクター)4
  • 国際芸術祭「あいち2022」(2022年、芸術監督)4
  • 「アートウィーク東京」AWT FOCUS(2024年、監修)46
  • 森美術館での主な企画展
    • 「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト」(2021–2022年、共同企画)2
    • 「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」(2024年、企画)1

その他の監修・企画展

  • 京都芸術大学と東北芸術工科大学の学生選抜展「DOUBLE ANNUAL」(2025年、監修)78

片岡真実さんの主な著作

書籍・エッセイ

  • 雑誌『リシェス』で連載「ART WAVES」を執筆。現代アートの潮流や注目展覧会、アーティストについて解説している35
  • 展覧会カタログや現代美術論に関する論考も多数執筆。

例:連載記事

  • 「ノルマンディーで若いモネと出会う」、『リシェス』No.49(2024年9月28日発売)3
  • 「土地の文化や歴史と共鳴する“ここだけのアート”」、『リシェス』No.48(2024年6月28日発売)5

まとめ

片岡真実さんは、ビエンナーレや国際芸術祭など世界的な大規模展の芸術監督を歴任し、森美術館を中心に多くの先鋭的な現代美術展を企画。著作では展覧会カタログや雑誌連載、エッセイなどを通じて、現代アートの最前線を発信しておられます。

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